学校が再開し、教員の業務に消毒が加わっている学校も少なくないと聞きました。
消毒を初めておこなう先生も多く、消毒作業を安全に、確実におこなうための方法を間違ってしまう場合もあります。
はじめに、多くの方が間違っている消毒方法からお伝えします。
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正しい消毒をしていますか?
「汚れを落とさずに消毒」は間違い
次亜塩素酸ナトリウムは「洗浄効果」がない
次亜塩素酸ナトリウムには「洗浄効果」がないため、汚れを落とすことができません。
「洗浄効果」とは、専門的な言葉ですが、ここでは「薬剤によって汚れを落とす効果」と思って差し支えありません。
例えば、ドアノブなどについている皮脂汚れや、そのほか子どもが触って付着した有機物による汚れは、次亜塩素酸ナトリウムでは落とすことができません。 そのため、次亜塩素酸ナトリウムで消毒する前には、必ず中性洗剤などで汚れを落とす必要があります。
もし汚れを落とさずに、いきなり次亜塩素酸ナトリウムなどで表面を消毒した場合、汚れている部分は十分な消毒がされません。
それでは、消毒方法などについて詳しく説明していきます。
いろいろな消毒方法
消毒に使う薬剤には、次亜塩素酸ナトリウムのほかにも、いくつかの種類があります。たとえば、アルコールや次亜塩素酸水などです。
それぞれの薬剤には、メリットとデメリットがあります。ここでは、主な消毒薬剤の特徴について説明します。
アルコール
アルコールは、速乾性があり、手指の消毒に向いています。また、ある程度の洗浄効果も期待できます。しかし、手荒れを引き起こす場合もあります。
次亜塩素酸水
次亜塩素酸水は、次亜塩素酸ナトリウムに比べて安全性が高いとされます。しかし、紫外線や有機物に弱く、効果が減少しやすいというデメリットもあります。
東京都の教育委員会は次亜塩素酸ナトリウムを推奨
東京都の教育委員会は、次亜塩素酸ナトリウムを推奨しています。理由は、コストが低く、強力な消毒効果があるためです。
次亜塩素酸ナトリウムは、特に感染症が発生した場合などに効果的です。ほかの薬剤に比べて経済的であり、大量に使用する場合にも適しています。
次亜塩素酸ナトリウムの注意点
次亜塩素酸ナトリウムを使用する際には、いくつかの注意点があります。特に、人体への影響には注意が必要です。
人体への影響
次亜塩素酸ナトリウムは、強力な消毒効果がありますが、その反面、刺激性があります。特に、目や皮膚に触れると、炎症を引き起こすことがあります。使用する際には、ゴーグルや手袋を着用することが推奨されます。
また、次亜塩素酸ナトリウムを希釈する際には、換気を十分に行うことが重要です。次亜塩素酸ナトリウムは、塩素ガスを発生させることがあるため、換気の良い場所で作業を行う必要があります。
次亜塩素酸ナトリウムの作り方
0.05%に薄める
次亜塩素酸ナトリウムは製品によって濃度が異なるので、商品パッケージやHPを確認して薄めます。
以下は主な次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする製品ごとの濃度の例です。
参考:厚生労働省HP
「新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。」(厚生労働省啓発資料)
消毒するときに用意するもの
消毒作業を行う際には、以下のものを用意する必要があります。
- 次亜塩素酸ナトリウム(0.05%に薄めたもの)
- 中性洗剤
- ゴーグル
- 手袋
- マスク
- タオル
- 水拭き用の布
次亜塩素酸ナトリウムによる学校内消毒の工程
「①洗浄」「②消毒」「③水拭き」の3工程
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒は、以下の3つの工程で行います。
- 洗浄
- 消毒
- 水拭き
まず、洗浄工程では、中性洗剤を使って汚れを落とします。次に、消毒工程で次亜塩素酸ナトリウムを使用します。最後に、水拭き工程で、消毒剤を除去します。
消毒する箇所
消毒する箇所は、ドアノブや手すり、机や椅子、トイレの洗面台など、手が触れる頻度が高い場所です。
3人1組で作業
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒作業は、3人1組で行うことが推奨されます。1人が洗浄、1人が消毒、1人が水拭きを担当することで、効率的に作業を進めることができます。
消毒をおこなう頻度について
消毒の頻度は、感染症の流行状況や学校の状況に応じて異なります。一般的には、毎日1回以上の消毒が推奨されます。
消毒だけでなく徹底した手指消毒を
ドアノブや手すりからの接触感染
手指消毒は、ドアノブや手すりなどの接触感染を防ぐために重要です。消毒作業と並行して、徹底した手指消毒も行うことが推奨されます。
手洗いの方法
以下は厚労省が推奨している手洗いの方法です。
出典:首相官邸HP